この映画の設定はオリジナリティに溢れていますね。どのように考え付いたのですか?
子供時代の悪夢がきっかけなんだ。10歳頃に何度も見た夢だよ。何かが追いかけてくる夢を見た人は大勢いると思う。僕の悪夢の中では、それはゆっくりだけど、とにかくしつこいんだ。僕は学校の遊び場にいて、普通の子が僕の方に近づいてくるのを見ている。でもどういうわけか僕の夢の中では、“それ”こそが恐ろしい存在なんだ。僕は走って逃げる。丸々1ブロック走ってから、立ち止まって待つんだ。しばらくすると、遠くで、その少年が角を曲がり、僕をゆっくりと追い掛けてくるのが見える。“それ”は誰にも似ていない。いつも姿・形が違った。もっとあとになって、そんな悪夢を見なくなってから、この夢を映画にしたら面白いと思ったのがきっかけだよ。
脚本を書き始めてからの過程を少し聞かせて下さい。
脚本は素早く書き上げることができた。この映画は驚くほど早くまとまったんだ。友人の一人がプロデューサーたちを紹介してくれて、約1年ぐらいかな。早い段階で僕は撮影監督と一緒にビジュアルスタイルについて取り掛かった。撮影が始まる前に、僕たちはこの映画の“声”を見つけたと感じていたんだ。
独特の映像美が一番目を引く要素になっています。あなたが影響を受けた作品について聞かせて下さい。
あり過ぎて言えないな。ジョン・カーペンター監督作品、たくさんのホラー映画。でももっとたくさんある。『パリ、テキサス』(84)は何度も観たよ。『黒い罠』(58)も、『ローズマリーの赤ちゃん』(68)も、『シャイニング』(80)も、もちろん50年代と70年代の『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(56・未)と『SF/ボディ・スナッチャー』(78)の両方もね。いくつかのクローネンバーグ監督作品、『ブルーベルベット』(86)、『大アマゾンの半漁人』(54)。それに、トッド・ハイドやグレゴリー・クルードソンのいくつかのスチール写真にもインスピレーションを受けた。とても素晴らしくて刺激的だよ。
カメラのレンズを通してどのようなことを伝えたいと思いましたか?
僕たちにとって大切だったのは、全てを伝えない過ぎないことだった。僕の初めての映画には、もっと主観的なカメラワークがあった。この映画はもっと客観的にしたかった。カメラが何を見ているのか、その焦点を観客にわからないようにする。そのために、カメラを少し遠くに離した。そうすることで、もし何か危険なものが近づいてきていたとしても、僕たちが必ずしも気づくとは限らないよね。僕たちは、恐怖の存在をはっきり示すのではなく、観客にそれを気付かせることによって、不安になる感覚を作り出そうとした。だから、どのシーンでもそこに何かいるとはっきりわかるわけではないんだ。もちろん、そのうちのいくつかはこの映画にはっきりと出てくるからちゃんと説明できるけれど、そのほかのシーンを恐怖として捉えるかは、個人的な感覚が頼りになる。僕はこれこそがリアルだという世界を作るのは好きじゃない。それに、この映画の時代設定は昔を描いているわけでも今を描いているわけでもない。多くのものに親近感や、現代的な切れ味をもたせたけれど、僕たちは少しだけ時間枠から外れたところにいたかったんだ。
本作は『アメリカン・スリープオーバー』(10)を作った人の手による映画であり、それとは正反対な内容です。前作からのギャップについてはどう思われてますか?
僕の頭の中ではそこまでかけ離れたものではなかったんだ。僕はホラー映画が好きだ。特に古典ホラー映画がね。それに僕はユニークな映画を作りたいと思っているんだ。だから『アメリカン・スリープオーバー』の青春トーンを取り入れ、キャラクターの年齢を少しだけ上げて、彼らを恐ろしい状況に置いてみて、一体どんな反応を示すのか見てみるのは面白いと思った。要するに『アメリカン・スリープオーバー』のキャラクターに感じていた純粋さはそのままにして、僕が大切に思うキャラクターたちをホラーの中で描きたいと思ったんだ。
明らかに、映画の中にホラー的な要素を読み取る方法はたくさんあります。この映画では性が大きな役割を果たしていると思いますか?
僕がそのことを説明しようとすればするほど、映画からマジックが消えていくように思う。でも、人生のある時点で、性を恐ろしいと思うような時期があると思うんだ。人の人生には得体の知れないあらゆる不安が押し寄せてくる時がある。それを、別のレベルで表現してみるのも面白いと感じたとだけ伝えておくよ。
マイカ・モンローをキャスティングした理由について聞かせて下さい。
単純だよ。この役のセリフを読んだ彼女が素晴らしかったからだ。彼女には、僕が脚本に書いたものをはるかに超える脆さがあった。彼女が主人公なのは明らかだった。ぴったりの俳優を見つけることは、もちろん、とても重要だ。今回のキャスティングにはとても満足しているよ。全員、素晴らしい仕事をしていると思う。